ラオスの砒素汚染
ラオスは、人口約560万人で、周囲を中国、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマーに囲まれた内陸国です。北西から南東に延びる細長い国で、その南西側に添ってメコン河が流れています。このメコン河はラオスの人々に貴重な水を届けてきたと同時に、近年は流域での砒素汚染も明らかになりました。
調査の結果、人口1万4000人のうち約1500人が砒素中毒にかかっていることがわかりました。
砒素汚染はラオス中央部と南部のメコン河流域の4県に多く集中しています。
Bolikhamxay州のBan Namchingでは32ppb、Saravan州のBan Napongで42ppb、Champasak州のSanasomboonで100ppb、Ban Thangbaengで54ppb、Ban Hin Sewで52ppb、Ban Nongbuanoiで50ppb、Attapeu州のBan Phangdaengで112ppbと報告されています。
これまでのスクリーニング水質検査によると、汚染率はそれほど高くなく、50ppb以上の砒素汚染は1%にとどまりました。
国際機関との協力によって、飲料水建設の際の水質検査の徹底、砒素濃度の高い井戸の廃止、家庭用浄水フィルターの配布、住民への啓発活動などが実施されてきました。
今後も、継続的なモニタリング体制、住民やコミュニティメンバーへのキャパシティビルディング、適切な代替水源の提案、農村部の砒素対策のための資金調達などが課題としてあげられます。
また、患者については、現在のところ砒素中毒患者の発見には至っていませんが、引き続きコミュニティや村人への砒素を含めた安全な水供給と衛生の啓発活動によって予防策を取る必要があります。