Asia Arsenic Network - 特定非営利活動法人 アジア砒素ネットワーク

「ジナイダ県の農業における水管理と気候変動適応推進事業」開始報告

バングラデシュでは、米の自給は達成していますが、増産を支えてきた灌漑用地下水の持続性が水量・水質の両面から危惧されています。AANはこの問題に対峙するため2017年より節水型稲作や乾季畑作を推奨してきました。この取り組みは地下水を含む環境保全に寄与するだけでなく、生産コストの削減など経済効果があることも確認されました。

他方、近年、乾季の豪雨といった異常気象が頻発し、乾季畑作を拡大させる上で気候変動への適応策の確立が不可欠であることもわかってきました。

この度AANは、「ジナイダ県の農業における水管理と気候変動適応推進事業」を開始し、バングラデシュの持続的な食糧生産を考える上で重要な要素となる水管理と気候変動適応の推進を行うこととしました。

具体的には、水管理(地下水保全、洪水対策、地下水中の砒素等有害物質の拡散抑制)、気候変動適応(適応品種の確保、作付時期や栽培方法の工夫、土壌改良、病害虫管理、警報システム導入等)を推進し、対象地域の持続可能な食糧生産システムの確立に貢献したいと考えています。対象地域での普及にあたっては、農業普及局と連携していきます。

コロナ禍、バングラデシュでは、感染防止のための国境封鎖により輸入に頼ってきた豆、香辛料、小麦、油糧種子などの食糧不足や価格高騰が起こりました。同時に、国内のロックダウンにより農村部から都市部への移送が止まり、また消費者の購買力が低下したことから、野菜等の農産物が売れなくなり農家も困窮していました。農家が保存していた種を食用に販売が進むと、問題が長期化する可能性もあります。このような食糧危機を回避するため、バングラデシュ政府はコロナ後の最優先課題の一つに農業分野を掲げています。私たちAANは、多様な作付けや質の良い種子生産を含め、コロナ後に対応した持続可能な農業の支援していきたいと考えています。

本事業は外務省NGO連携無償資金を活用し、実施しています。

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