Asia Arsenic Network - 特定非営利活動法人 アジア砒素ネットワーク

バングラデシュNCDコーナー支援(報告)

AANは2019年より非感染性疾患(NCD)の治療を行うNCDコーナーの社会機能面の強化をバングラデシュで実施中です。2021年3月14日に「ジョソール県における非感染性疾患リスク低減のための病院内相談室強化事業」の2年次が無事終了し、3月15日より3年次の活動を予定通り開始することができましたことをご報告いたします。

今年度は、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、病院を活動の場とする本事業も様々な影響を受けました。政府医療従事者は多数感染しましたし、事業スタッフも検査は受けられなかったものの症状を発症したものが数名いました。ただし、受益者の中からは感染の報告が一例もありませんでした。啓発の効果もあったかもしれませんし、密になりにくい田舎の生活スタイルが幸いしたのかもしれません。

この事業では5つの政府病院内にあるNCDコーナーを支援しています。2020年4~5月の外出自粛中に一旦減少した利用者数もPPEやマスクなどの感染予防品の購入ができたこともあり、6月以降順調に回復。今年度の新規登録者は12,480人(累計22,4351人)、のべ約4万人(集計中)が経過観察で受診し、密回避に苦慮が必要となるほどでした。

9月からは病院外の活動も活発となり、啓発、運動指導、コミュニティクリニックを拠点にした健康診断とリファーラルも実施しています。1月末にインド製のアストラゼネカワクチンが輸入され、40歳以上を対象にワクチン接種プログラムが2月に開始され、本事業スタッフを含め保健医療従事者のほとんどが1回目のワクチン接種を完了しております。糖尿病や高血圧等のNCD患者はコロナ重症化のリスクが高いため、ワクチンの優先接種枠に入っていますが、「治療を受けていること」が条件となります。バングラデシュでは脆弱層を中心に、未診断・未治療のNCD患者が多くいると言われており、影響が心配されます。

また、バングラデシュの地方の保健施設でトイレや手洗い施設を備えているのは3割程度と言われています。私たちの活動地域にも水がないために、トイレも手も洗えない施設が多くありました。保健施設における水と衛生サービスは、感染症の予防と管理、質の高いケアのために必要とされる最も基本的な条件となります。このため、今年度、新規14か所、修繕28カ所の計42施設に安全な水を届ける支援を行いました。

コロナパンデミックの収束には、ワクチンや治療薬も大事ですが、NCDの治療ができる環境の整備や安全な水の供給など関連分野の強化が非常に重要になります。3年次は、新型コロナウィルス感染防止に対応したNCD予防と管理モデルを確立し、NCD患者の保健医療サービスの利用を推進していきます。

本事業は外務省NGO連携無償資金を活用して実施しております。

NCDコーナーの待合室で指導を受ける女性たち
手が洗えるようになったコミュニティクリニック
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