Asia Arsenic Network - 特定非営利活動法人 アジア砒素ネットワーク

農業における節水推進事業を開始します。

バングラデシュ南西部の地下水ヒ素汚染と干ばつ地帯における節水かんがい(AWD)推進事業が開始します。

バングラデシュ南西部では、水田への過剰かんがいによって地下水資源が衰退し、水不足による収量低下と生産コスト高騰が小規模農民を困窮させています。米の生産量を維持しつつ、地下水資源の保全にも資する解決としてAWDと呼ばれる間断かんがい技術(Alternate Wetting & Drying)が20年以上前に国際稲研究所(IRRI)によって確立されています。AWDは収量を維持しながら、かんがい用水使用量、ポンプアップのための燃料、化学肥料使用量、温室効果ガス排出量、作物中のヒ素濃度低下などを減らすなど、様々な良い効果があることが分かっていながら、普及が困難な技術と言われてきました。
AANは地下水ヒ素汚染問題を解決するためには、非効率的・非計画的に行われる農業かんがいにおいて水管理を導入することが不可欠と考えの元、2017年からジナイダ県で持続可能な農業を推進してきました。ジナイダ県では、少なくとも3000軒以上の農家が744haの面積でAWDを開始したことが確認されています。
この経験とノウハウを活かし、外務省NGO連携無償資金協力を活用し、バングラデシュ南西部の地下水ヒ素汚染と干ばつによる深刻な影響を受ける地域において新たな事業を開始できることとなりました。
具体的には
1)農民とかんがい井戸所有者のAWDに関する認識の向上
2)農業普及局のAWDに関する農民への支援体制の強化
3)対象地域の環境、気候、稲作の水管理に関する農民の現状と課題の把握
を通じて「農民が農業普及員の支援を受け、適切なAWD技術を習得すること」を目指して実施します。
世界的に地下水資源の枯渇が叫ばれ、その持続可能な利用が課題となっています。本事業の学びが、対象地域を超え、バングラデシュ国内、同様に地下水かんがいを伴う稲作に依拠したアジア地域にも広がることが期待されています。

かんがい用水のヒ素濃度調査 高濃度のヒ素汚染で知られるジョソール県シャシャ郡シャムタ村でも対策をします。
AWD技術を適用した水田 水を入れたり、乾かしたりするほうが稲の生育が良い
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