Asia Arsenic Network - 特定非営利活動法人 アジア砒素ネットワーク

コロナ禍、病院支援継続

2020年10月23日 - 事務局からのお知らせ

アジア砒素ネットワークは2019年3月から、バングラデシュの政府病院で糖尿病、高血圧、慢性ヒ素中毒症、慢性高級機疾患などの非感染性疾患・NCDの予防と管理サービスの支援をしています。利用者の多くは、社会経済的な理由で治療をあきらめていた田舎に暮らす貧困家庭の女性です。糖尿病や高血圧の治療を無料で受けられるようになり、多くの人がNCDコーナーを訪れていました。

  • AANはジョソール県内の5病院に設置されたNCDコーナーの社会機能サービス(相談・データ分析・連携等)の強化支援を2019年3月より実施
  • 2020年3月までの1年間で約1万人がサービス利用・患者登録
  • 2020年3月末よりバングラデシュ政府は新型コロナウィルス感染防止対策として外出自粛要請を出す。
  • この間、NCDコーナーは継続するも一部のサービスは中断
  • 8月までに5病院の医療者156人が新型コロナウィルス陽性。この他にも、疑い症状がありながら検査が受けられない関係者(AANのスタッフ含め)も多数いた。
  • AANは『NCDとコロナ』に関する啓発教材を迅速に作成し発信。SMSと電話を活用し脆弱性の高い人を優先に相談とモニタリングを実施。感染防止対策(マスク着用・密回避・除菌)、クリニックでの水供給等を通じ、機能回復に貢献。

自粛期間もNCDサービスは診断と投薬のみ継続したものの、相談や血圧等の測定などサービスは中断、利用者数も減退しました。AANは感染防止対策と、脆弱性の高い患者へのSMS等を活用した啓発・モニタリングを実施しつつ、サービス機能回復に協力しました。そのおかげで9月には利用者数がコロナ前の2月のレベルに戻りました。

WHOは『COVID-19 AND NCDs-WHO』の中で、「コロナ感染で重症化しやすいNCD患者は、コロナ禍において脆弱性を増したが、感染が深刻な地域ほど、NCDサービスが中断する傾向が見られた」と警鐘を鳴らしました。  

重症化リスクの高いNCD患者の症状管理は、コロナ禍において特に重要な意味を持ちます。私たちの活動地域にも多くの潜在患者がいると推測され、より多くの人をNCDの予防と管理サービスに結びつける必要があります。そのためには、医療機関の絶え間ないサービス提供に加え、コミュニティレベルでの早期発見、病院へのリファーラル、フォローアップが重要です。私たちは今、NCDリスクのセルフチェックツールの開発など新しいアプローチを考えています。

コロナ禍、NCDサービスを安全に継続するために必要なこと

重症者や死亡の数を抑えるためにはNCDの予防と管理が必須なのですから、NCDに従事する医療者にPCR検査・ワクチン接種などを優先すべきです。

また、コロナ禍においては、政府職員は感染収束に追われます。その中で、啓発や脆弱者支援に臨機応変に取り組めるのはNGOです。保健医療で活動するNGOスタッフにも公平な安全対策が行きわたることを求めます。 『ジョソール県における非感染性疾患リスク低減のための病院内相談室強化事業』は外務省NGO連携無償資金を活用し実施しています。

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