Asia Arsenic Network - 特定非営利活動法人 アジア砒素ネットワーク

バングラデシュの脆弱層を中心としたNCD対策に関する提言書を公開しました

「クルナ県における脆弱層を中心とした非感染性疾患(NCDs)克服モデル普及推進事業」(N連:2026年4月終了)を通じて作成した提言書 アドボカシーペーパー(英語):Advocacy for NCD Prevention and Continuity of Care to Reduce Premature Mortality を公開しました。

本事業は、バングラデシュ政府保健家族福祉省保健サービス局非感染性疾患対策室との包括的連携協定のもとで実施しました。本提言書は、活動を通じて得られた成果と教訓をまとめ、今後のNCD対策に役立てていただくため、現地の政府関係機関に提出したものです。

本提言書には、斎田伸一駐バングラデシュ日本国大使からもメッセージをいただきました。地域を中心とした包括的なNCD対策の成果を評価いただくとともに、その経験と教訓が政策対話やバングラデシュのNCD対策の推進に活かされることへの期待を寄せていただいています。

事業の経験を踏まえ、脆弱層を中心としたNCD対策を進めるうえで、特に重要と考える三つの点をご紹介します。

1.社会全体で取り組むアプローチ(Whole-of-Society Approach)

医療従事者だけでなく、家族、地域住民、地域組織など、社会のさまざまな担い手が参加するアプローチです。本事業では、特に脆弱性を抱えるコミュニティにおいて、予防啓発や健康リスクの発見から医療への橋渡し、受診後の継続的なケアまで、地域でも支えられるモデルを形成しました。

2.分野を越えて連携するアプローチ(Multi-Sectoral Approach)

保健、水供給、農業、教育、地方行政など、異なる分野が連携するアプローチです。NCDsの背景には、保健分野だけでは解決できない社会的・環境的な要因があります。

NCDsは「生活習慣」の問題として捉えられがちですが、私たちが取り組んできたヒ素問題をはじめ、飲料水や食料、大気の汚染など、本人の努力だけでは避けられないリスクもあります。こうした上流の環境要因を放置すれば、医療を充実させても新たな健康被害が生じ続けます。生活習慣への働きかけと環境対策を併せて進めるため、分野を越えた連携が欠かせません。

3.保健セクター内における継続的なケアの強化

本事業では、郡病院のNCDコーナーとコミュニティクリニックの機能をそれぞれ強化し、患者の紹介や施設間の連携を促進しました。また、母子保健サービスとの連携を強化するとともに、デジタル化を患者の継続的なケアの管理に活用しました。プロジェクトチーム(AAN)と病院側による合同モニタリングも、病院間の取り組みの差を縮め、ケアの質を高めるうえで有効でした。

さらに、安心して使えるトイレがないために受診を諦めている女性や障害のある方などの声を踏まえ、郡病院にバリアフリートイレを設置しました。その取り組みは、こちらの動画でご覧いただけます。

経済状況、性別、居住地、障害の有無にかかわらず、慢性疾患を抱えて生きるすべての人が継続的なケアにつながれるよう、私たちはこれからも支援を続けていきます。

本事業は、外務省の日本NGO連携無償資金協力を活用して実施しました。ご協力くださったすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。

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