Asia Arsenic Network - 特定非営利活動法人 アジア砒素ネットワーク

バングラデシュ国シャトキラ県におけるヘルシーエイジング推進事業の開始のお知らせ

2026年3月31日、バングラデシュ国シャトキラ県 環境・社会的脆弱性を抱える地域におけるヘルシーエイジング推進事業を開始いたします。

ヘルシーエイジングはバングラデシュにおいて新しい分野であり、アジア砒素ネットワーク(AAN)にとっても初めての取り組みとなります。本事業では、これまでヒ素対策および非感染性疾患(NCDs)対策で培ってきた知見と実践経験を活かし、同国における先行事例の構築を目指してまいります。

本事業は、外務省NGO連携無償資金協力を活用して実施されます。

対象地域であるシャトキラ県は、ヒ素汚染率が国内第4位、塩水化率が7割を超えるなど、深刻な水質問題を抱えています。また、60歳以上の人口は全体の約11%(約24万人)と全国平均(約9%)を上回り、高齢化が進行しています。年齢構成に基づく推計では、糖尿病および高血圧症の有病者数は約48万人に達すると見込まれます。一方で、公的な医療・生活支援・介護制度は依然として十分に整備されておらず、ケアが行き届かない高齢者や、疾病・障害を抱える方々の生活の質(QOL)の低下が課題となっています。

こうした状況を踏まえ、本事業は、国連が提唱する「ヘルシーエイジングの10年(2021–2030)」の理念――「人々が高齢になっても能力を維持し、自らの価値観に基づいて生活できる社会の実現」――と連動し、健康寿命の延伸に向けた持続可能な地域包括ケアの基盤整備を目的としています。

具体的には、以下の4つを柱として取り組みます。
① ヒ素汚染や児童婚など、地域に特有のリスク要因に対するライフコースを通じた介入
② 高齢者および脆弱性を抱える住民のセルフケアと社会参加の促進
③ 対策が困難な地域における水・衛生環境の改善
④ 上記を統合した「地域基盤型ヘルシーエイジング実践モデル」の構築と、現地政府との協働による制度化の推進

また、実施にあたっては、世界銀行の提言とも整合を図りながら、基礎保健システムの強化、非感染性疾患(NCDs)対策の拡充、デジタルヘルスの活用、コミュニティのエンパワメントを推進します。

本事業を通じて、年齢や健康状態にかかわらず、誰もが自分らしく暮らせる環境の整備と生活の質(QOL)の向上を目指します。さらに、得られた知見を体系化し、他地域への展開につなげていきます。

ヒ素汚染の深刻なシャトキラ県タラ郡において ヒ素中毒症を抱えた高齢者と対話する現地責任者
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