Asia Arsenic Network - 特定非営利活動法人 アジア砒素ネットワーク

クルナ県における脆弱層を中心としたNCD克服モデル普及推進事業完了報告

バングラデシュでは、高血圧や糖尿病、心血管疾患などの非感染性疾患(NCD)が主要な公衆衛生課題となっており、若年死亡や家計負担の増大を引き起こしています。政府は10年以上にわたり対策を進めてきましたが、依然としてその影響を十分に抑えきれていないのが現状です。

アジア砒素ネットワーク(AAN)は、バングラデシュ政府と連携し、ヒ素対策や安全な水の供給、地域保健活動の経験を基盤として、環境リスクも踏まえた統合的なNCD対策に取り組んできました。2023年3月から実施してきたクルナ県における脆弱層を中心としたNCD克服モデル普及推進事業(NCD-Ⅳ)は、2026年4月30日をもって終了します。本事業では、先行案件ジョソール県における非感染性疾患リスク低減のための病院内相談室強化事業(NCD-Ⅲ)で構築したモデルを県規模に拡大し、郡病院(UHC)におけるNCDコーナー整備、オンライン登録やカウンセリングの導入、コミュニティクリニックとの連携強化、受診中断患者の追跡、保健人材の育成などを通じて、「NCD-IVモデル」を完成させました。

900人を対象とした追跡調査(有効回答758)では、74%が通院を継続し、血圧管理は16%から58%へ改善、血糖管理も高血糖割合が77%から57%へ低下しました。さらに知識向上や禁煙の拡大(喫煙者の95%が禁煙)、医療費負担の軽減など、健康行動と生活の質の向上が確認されました。

2013年以降13年のジョソール県とクルナ県の取り組みを通じて、約11万5千人の患者がデータ管理システムに登録され継続的なケアにつながり、約241万人が健康教育を受け、1万2千人以上の保健医療人材が育成されました。加えて、22の病院と651の保健施設でサービス体制が強化され、約3万3千人が医療機関へ紹介されるなど、ケアの継続性を改善しました。

4月22日にはクルナ県にて最終セミナーを開催しました。本セミナーは、クルナ県において脆弱層を中心に実施されてきたNCD予防・管理モデルの成果と教訓を、関係者と共有することを目的に開催されたものです。バングラデシュ政府保健局保健サービス局NCDプログラム責任者 Rahat医師、在バングラデシュ日本国大使館唐澤一等書記官、コミュニティボランティア、裨益者、NGO、AAN Bangladesh Akhter医師、AAN代表横田らが参加しましたが、参加者からの積極的な発言があり、NCD対策における連携の重要性を確認しました。また、今後の持続的な展開に向けた方向性についても共有されました。本事業終了後は、政府と共にBRAC-Healthがクルナ県で活動を引き継ぐことになります。

今月をもってAANのNCD対策は一区切りとなりますが、事業終了前に提言書を作成しました。この中には、複数疾患への統合的対応、受診中断者支援、アクセスしやすい環境整備(水衛生施設含む)、デジタルヘルスの活用、セクター間連携の強化といった内容を含めました。

本事業は、外務省のNGO連携無償資金協力を活用し、アジア砒素ネットワーク(AAN)、外務省国際協力局NGO協力推進室、ならびにバングラデシュ保健家族福祉省保健サービス局(DGHS)非感染性疾患対策プログラム(NCDC)との連携のもとで実施されました。
本事業を支えてくださった皆様および関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。

最終セミナーの様子

https://www.news24bd.tv/details/278014#google_vignette

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