高濃度ヒ素汚染地でのヒ素低減稲作の調査報告
2022年8月8日 - 事務局からのお知らせ
バングラデシュでは全国の飲料用に掘られた井戸の3割において基準値(0.05mg/L)を超えるヒ素が検出され、2000年ごろから対策がとられてきました。しかし、農業用の灌漑井戸についてはヒ素汚染調査も対策もほとんどなされてきていません。
特に毎年1月~5月の乾季に大規模な農業用の地下水灌漑が行われており、水質汚染による食の安全性だけでなく、水量の面でも持続性も懸念されています。この問題に対応するため、AANは2017年より農業灌漑の使用量を減らす取り組みを推進してきました。
今年2022年、高濃度砒素汚染農地(バングラデシュ国ジナイダ県ショドル郡)において、バングラデシュ政府(農業普及局)が推奨する節水稲作と、日本の国立研究機関である農研機構農業環境変動研究センターが日本ですでに確立・検証している「水管理によって砒素濃度を抑える栽培方法」を用いて、ヒ素低減稲作の実験を行いました。
その結果、農研機構が推奨する「3湛4落」は、農業普及局の節水方法よりも灌漑量が25%減少することができましたが、収量に大きな変化がないこと、およびヒ素濃度は20%低減したことが確認できました。ただし、天候や農地の事情により農研機構推奨の条件が完全に整えられなかったこともあり、1 回の調査結果をもって結論を出すことは時期尚早です。
今年度調査の報告書はこちらからダウンロードしていただけます。
本調査にご協力いただいた農研機構の研究者の皆様、現地関係者の皆様に感謝の意を表します。
本調査は、日本NGO外務省連携無償資金協力を受け、「ジナイダ県の農業における水管理と気候変動適応推進事業(2021年~)」の一環として実施されたものです。
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