パキスタンの砒素汚染

パキスタン北部には、世界で2番目に高い山K2を含むカラコルム山脈やヒンドゥークシ山脈などの高峰がそびえ、そこから国土の中心部を南に向けてインダス川が流れています。人口は1億8千人を超えており、2050年には世界第4位の人口大国になると言われています。

砂漠が広がる乾燥地帯に恵みの水をもたらすインダス川の中流域パンジャブ州と下流域のシンド州に砒素汚染が見られます。

パキスタンの砒素汚染は、2002年1月にダッカで開かれた「砒素円卓会議」で報告されました。

35郡1800村から8777本のチューブウェルの水を集めて分析した結果、全国4州のうちの2州、インダス川の中流のパンジャブ州で27本(0.6%)、下流のシンド州で31本(1.4%)から0.05mg/lを超える砒素が検出されました。郡ごとの汚染率をみると、シンド州でもっとも高かったのがDadu郡の4.6%、パンジャブ州ではR.Y.Khan郡の2.3%でした。

インダス川流域の堆積物はベンガル地方の高砒素汚染地域のそれと似ていますが、データから見ると、パキスタンの砒素汚染は比較的低くなっています。これは、気候が乾燥していること、古い年代の堆積物が広く分布していること、堆積層の通気が良いことといった違いによって、ベンガル地方とは異なる酸化還元の特性をもたらしている、つまり酸化した状態では地下水中に含まれる砒素の流動には好ましくない状態を作っているのではないかと言われています。

ある医学調査によると、シンド州の3郡で40人が発病者、70人がボーダーラインと診断されたとありますが、2005年のWBによる報告書によると、砒素中毒患者は発見されていないということです。

乾燥地帯であるパキスタンでは、フッ素汚染や高塩分の問題が深刻な問題となっています。砒素汚染のモニタリングとともに、これらの汚染対策も必要とされています。