カンボジアの砒素汚染

カンボジアは、インドシナ半島に位置し、東のベトナム、北のラオス、西のタイと国境を接しています。国土の北から南にかけてメコン川が縦断しており、国土の中央部にある巨大なトンレサップ湖もメコン川につながっています。この河川流域にカンボジアの砒素汚染は広がっています。

UNICEFは2004年1月に、

“Arsenic Contamination of Groundwater in Cambodia”

という報告書を作成しました。

その報告書では、4万中約1万のチューブウエルの砒素濃度を測定した結果、15.6%の井戸が基準値(0.05mg/l)を超え ていたと述べています。

汚染率がもっとも高かったカンダル州では、46%の井戸が0.05mg/l を超えていました。ついで、コンポンチャム州とプノンペン周辺地域が37%、クラチエ州とコンポンチナン州は5%、残りの州は2%以下でした。

砒素に汚染 されているのは、メコン川、バッサク川、トレンサップ川と洪水平野内の小河川に接する地域で、現代あるいは完新世代の堆積物の中で起きていました。深さ別 だと、15メートル以下の浅い井戸は汚染が低く、15-100メートルの井戸で高くなり、100メートルを超える井戸はまた低くなります。

砒素患者については、健康省が2003年にカンダル州キエンスバイ県の12村落からランダムに1470家族を選びバングラデシュの専門医師による砒素病変検査を合計で7817人に実施しました。キエンスバイは高汚染地域で494本の井戸のうちの60%が50ppb以上、29%は500ppb以上だが臨床的に明らかな砒素患者は発見されませんでした。その理由として、①井戸利用年数が4.5年と短いこと、②相対的に豊かな村で栄養状態がよいこと、③雨水利用もあること、が挙げられています。

また、2004年のUNICEFの報告書でも「健康調査の結果、砒素中毒患者は発見されていません」とありました。

しかし、その後の調査によると、カンボジア内にも深刻な砒素中毒症が広がっていることがわかってきました。

カンダル州のPreak Russey村は汚染が最も深刻と言われる村で、ここでは2006年に村にある100の井戸の水質調査を実施し、結果80の井戸でWHOの基準を40~50倍超える砒素汚染があることが明らかになりました。村人はこれらの井戸水を飲用水、料理用水、シャワー等の生活水として利用しており、村人のうち300人(ほぼ全員)に症状があり、4人はすでに死亡しているとの報告があります。

この村では、カンボジア政府とアメリカのNGO(RDI)により、砒素に汚染された井戸を廃止し、バサック川からロープを引いて水を供給するロープ給水が実施されています。しかし、供給量は足りておらず、水を買うお金がない貧しい村人のなかには、砒素に汚染された水とわかっていても井戸水を飲むしかない人もいるようです。

カンボジアではここ数年、最初の砒素中毒患者が発見されて以来、調査が実施されており、少なくともPreak Russey村を含む4つの村で患者が発見されています。しかし、この数字も正確ではなく、全体像の把握には至っていません。

地下水砒素汚染に加えて、鉄やマンガン汚染も見られることから、これらを含めた水対策が求められています。

<アジア砒素ネットワークの活動>

アジア砒素ネットワークは、2005年にカンボジアへネットワーカーを派遣し、砒素汚染の実態調査(RDI(アメリカNGO)の当時の活動地であるキエンスバイ視察、UNICEF事務所訪問、GRET,KOSAN(フランスNGO)訪問など)を実施しました。その報告は以下の報告書をご確認ください。

AANカンボジア調査報告(2005年4月)