台湾の砒素汚染

1920年代ごろから、台湾の南 西海岸(嘉南平原)で、深さ100-280メートルの井戸水を飲んでいた住民の間に、末梢血管の障害によって四肢に壊疽が生じ、指の先から黒くなっていく 「烏脚病」が多発しました。

この嘉 南平原はもともと海であったところが、陸封されて清朝の時代に陸地になりました。そこに漢民族が入植し、干拓して農地にしました。最初は川の水などの表面 水を飲料水にしていましたが、浅井戸や表面水は塩分が多かったり、味が悪かったりしました。また、人口増加に伴う表面水の汚れなど衛生学上の問題から、井 戸水を各村落の共同井戸として掘り、その水を使うようになりました。

1950年代後半にこの烏脚病が多発してきたために世間の注目を浴び、台湾大学医学部の調査で、ようやく砒素中毒であることが判明しました。

烏 脚病は、足の皮膚が黒くなり、えその部分が自然に脱落していきます。足に発生する場合が多いですが両手両足におこることもあります。患者数は、数千人にの ぼるといわれています。2000年になってからも、年間に100~200名の新しい患者が発生しているということです。

最近、台湾北東部 (蘭陽盆地)でも烏脚病患者が見つかりましたが、規模はそれほど大きくないようです。

嘉南平原の 水問題は1960年代に上水道が敷設されて解決していますが、いったん砒素汚染を受けると、遅発性症状として数十年後でもえそが起こってくることがありま す。この地域でのえその発生率は異常に高いので、砒素以外にも他に動脈硬化を促進する物質が井戸水に存在するのではないかということで台湾の医学界ではい ろんな議論がなされています。