メコンデルタ

メコン川流域のベトナム Dong Thap 省で調査研究・環境改善をおこなっています。

活発に活動を始めたのは2008年。予備調査から始まり、地下水調査(フィールド調査・ボーリング調査・ラボ分析などの結果を基にした解析まで)、水質・微生物生態の研究、ボーリングコアによる地質調査、ヒ素除去実験、珪藻遺骸群集、医学的スクリーニング調査と多岐にわたりました。

これらを基盤に2009年度は3次にわたる現地調査により、ドンタップ省における地下水砒素汚染の広がりについて確認できました。また砒素濃度の高いタイ島をモデル地域とし、地質状況・地下水の季節変動や経年的変化などについて把握することもできました。
現地の地下水砒素濃度に比べ住民の症状が比較的軽い理由について、水利用の現状調査から概要を把握できました。雨季の雨水利用・河川の表流水利用・凝集沈殿に明礬を使うことで砒素が酸化鉄とともに共沈するなど、人体に対する総暴露量は抑制的になっているのが理由です。しかし、注意してみると飲料水には使用していないが料理には利用している場合もあり、地下水砒素汚染の影響は見受けられます。砒素汚染の高い井戸水の利用制限は調査のたびごとに指導しています。一方、給水施設の中には砒素除去が不十分なものも見受けられることから、施設の改修も含めた、早期の改善対策が必要です。

車が入れない地域、荷車でヒ素除去装置の搬入を行う

2010年度は、汚染メカニズムの解析をさらに進めるとともに、安全な水供給のモデルを提示することを目指しました。地質調査・水質調査・地下水流動調査・水利用の実態調査を基本に実施した結果、①ヒ素汚染のメカニズムを明らかになりました。同時に水利用の実態を把握しながら、汚染された地下水を飲料水にしている集落を中心に、砒素除装置や砂ろ過装置を試作し、現地で継続した性能試験を実施ました。その結果、②世帯ごとでの飲料水改善のモデルを示すことができました。また、3カ年にわたる調査研究の成果を現地の環境局で報告しました。報告会には現地政府関係者や地域のオピニオンリーダーが参加し、問題解決に向けての方向性を協議することができました。このことにより、③現地関係者の地下水ヒ素汚染に対する現地の理解が深まるとともに、問題解決に向けて協働で取り組んでほしいとの要望が示されました。

2011年度からは、住民自らが飲料水浄化装置を作成しメンテナンスすることができる装置の開発と普及を行うことで、安全な飲料水確保を図ります。同時に集落ごとの給水設備ならびに全島に広がるであろう水道施設なども視野に入れ、短・中・長期の安全な飲料水確保や適切な地下水利用について総合的な水利用の在り方を提言してゆきます。