中国内蒙古プロジェクト2007

 活動は、飲料水に含まれている砒素・フッ素による健康被害を防ぐことを目的に実施された。具体的には①「簡易型砒素・フッ素除去装置」の開発と普及、②生態移民政策に安全な飲料水の提供(上下水道の整備)を織込むことである。そのために、③現地関係者との合同会議を開催し、合意点を文書確認しながら、住環境と水問題を総合的に改善するように留意した。

 06年度から基礎実験を進めてきた除去装置は、基礎実験や現地での実験を重ね、実用化することができた。この装置は、工場生産型で製作することも当然可能であるが、原則的には当事者自らが製作することができるように配慮し、工夫をかさねたものである。除去装置は現地で製作すると同時に説明会を開き、技術移転を行った。また、中国語版の製作テキストも作成した。

 生態移民政策は、環境保護と貧困脱出を目的とした国策(2000年・西部大開発)である。現地でもこの政策が実行され、結果として市街地への移住が促進され急速な都市化が進んでいる。水供給のほとんどを地下水に頼っている現地では、都市化に伴う水不足や人為行為による地下水汚染も懸念される。このような問題意識や水収支の問題などについても意見交換を行い、改水事業との関連についても協議を行ったうえで事業への協力を行った。

 安価で簡便な「砒素・フッ素除去装置」の完成で、ともすれば置き去りにされる地域の住民たちに対し、安全な飲料水確保の道を開くことができた。この技術は、当該活動地域だけの成果にとどまらず、同様な生活環境にある多くの地域においても友好な技術となりうる。この技術を広く公開することで更にその効果は高まるものと考えている。

 また、現地で勧められている生態移民政策と現実的なすり合わせを行い、新しい住環境のなかに安全な飲料水を確保することができた。この協議の中で、地下水利用のあり方や課題について、多くの知見や情報を提供することができた。今後とも課題となるであろう地下水利用のありかたを、現地の関係者が考える場合の手がかりとなりうるものと考える。

 この間の活動で培った人的なネットワークは、今後の問題解決にも活かされるものと思う。