中国内蒙古プロジェクト2004

96年~99年に実施した、飲料水砒素汚染問題に対する「モデル村改水事業」は現地で高く評価され、これを契機とした行政指導の改水事業も進みました。しかし、その安全性や安定性についての知見は必ずしも充分ではなく、経済的事情も含めた対応困難地域も残されています。また砒素暴露を受けた中毒患者の治療や健康管理については、ほとんどその取り組みがなされていません。

「モデル村改水事業」から5年、この間に蓄積された医学的知見・水文地質学的知見などを現地に還元し、地域住民の安全な生活環境の確保のために役立てようと内モンゴルでの活動を再開しました。また改水事業の5年後追跡調査を実施することで、現地の当事者たちと総合的な問題把握をおこない、問題解決のための指針をたてることを目的に活動しました。

【活動の概要】

①5年後追跡住民検診と水文地質学的補充調査の実施
 6~7月と10月に実施し、210名の追跡検診と3つの村の水文地質補充調査をおこないました。

②現地住民への環境教育報告会の実施
 6~3月の間に小集会方式で実施しました。また、現地のニーズに応じるため検診結果等は即日報告し、必要に応じて農村への戸別調査も実施しました。

③学際的砒素フォーラムの開催
 現地五原県を中心に4回開催し、環境部門・公衆衛生部門の関係者約250名の参加がありました。

④普及書的な活動報告書の作成
 中国語の配布資料とブックレットは完成し、総合的な報告書は校正の段階にはいっています。次年度も継続して作業を進め、普及書的なかたちで完成させます。

【活動の結果と効果】

 活動は、当初計画以上の成果をあげることができました。

①長期にわたる各種調査の成果は、安全な飲料水確保の方法を現地の事情に即した具体的な方法として提示できました。

②飲料水改善の結果、健康被害に顕著な改善がみられ、当事者と共に改水事業の成果を共有できました。

③健全な生活環境を確保するためには、水利用のあり方をふくめ総合的な環境施策や保健施策が必要であり、連携して取り組む必要性が確認されました。

④活動が現地で報道されたこともあり、同種同様の課題を持つ地域から助言を求められ、有効な関わりを持つことができました。

 特に、新たな砒素汚染地域の相談に対し、調査の重要性・その具体的方法を教示できたことは、人的被害に至る前の環境改善活動への重要性を確認することとなりました。