中国内蒙古プロジェクト2006

06年度は、04年度から調査している錫林郭勒盟(シリンゴルメイ)・正藍旗での飲料水対策に加え、現地の要請に応える形で、同盟にある蘇尼特右旗(スニットウキ)でも砒素汚染調査を実施することになりました。
    
5月に現地を訪問し、正藍旗で安全な飲料水を供給するための水道施設建設に関する打ち合わせと、蘇尼特右旗での予備調査をおこないました。蘇尼特右旗・サンボラゲスム周辺の地域にある7つの井戸を調査した結果、0.07~3.79mg/ℓ もの高濃度の砒素がすべての井戸から検出されました。また、砒素だけでなく、フッ素にも汚染されていることがわかりました。さらに、砒素暴露を受けていると思われる12名の地域住民に対して症状の確認調査をおこなったところ、手足の角化や色素沈着・脱失などの慢性砒素中毒症に見られる特異的な症状が全員から確認できました。
 
5月の予備調査の結果、蘇尼特右旗の砒素汚染は深刻であり、汚染の原因を解明するためには、水文地質学的なさらに詳しい調査が必要であることがわかりました。             
      
5月の調査結果を踏まえ、9月に再度内モンゴルを訪問し、蘇尼特右旗での本調査を実施しました。今回の調査は、水文地質や鉱物の専門家の協力を得て、蘇尼特右旗の砒素汚染原因を調査しました。井戸水の砒素濃度を廣中式フィールドキットで測定した結果、5月の調査結果と同様、高濃度の砒素に汚染されていることが確認できました。詳細な水質の分析は現在進めています。患者確認もおこない、前回の調査で検診した12人中6人の追跡調査を実施することができました。このうち、1人の青年は劇的に症状が回復していました。5月調査の後、近くの井戸が砒素に汚染されていることを知った青年は、砒素に汚染されていない水を運んで飲むようになったそうです。砒素中毒症を治すための最もよい薬が「安全な水」であることを示すうれしい出来事でした。しかし、今回新たに症状確認をおこなった4人中2人から、砒素による中毒症状を確認しました。
                                                            フィールドキットでの水質調査
今回、地質調査をおこなった結果、第三紀層が帯水層となっている井戸は砒素に汚染されていないが、同じ第三紀層の地質であっても、断層や亀裂があるために高濃度の砒素に汚染されてしまった井戸があることがわかりました。これらの調査結果は、現地旗政府にも報告をおこないました。今後の活動や対策については、水質分析の結果や水文地質学的な調査結果を踏まえて、これから関係者と協議を進めます。
      
9月の訪問では、正藍旗に建設した水道施設の竣工検査を実施するとともに、正藍旗政府が主催する完成式典にも出席しました。完成した水道は、正藍旗・ボショウダイソムの80戸とボショウダイソム役所に、安全な水を供給します。