新経済回廊BCIM(2) バングラデシュ最大のインフラ、パドマ橋建設中国受注へ

バングラデシュ南西部と首都ダッカを結ぶ念願のパドマ橋の建設は、中国の” Major Bridge Engineering Company Ltd “(中国大手橋エンジニアリング会社)が受注することに決まった。これまで、メグナ橋、ジョムナ橋、ラロン橋、ルプシャ橋など主要な橋梁にかかわってきた日本は、バングラデシュ最大のインフラ事業といわれるパドマ橋の建設からはずれた。

4-1 パドマ川52KB

(パドマ川)

パドマ橋の建設はいったん、世界銀行、アジア開発銀行、JICAなどが資金援助をすることが決まっていた。2年前に、カナダのコンサルタント会社とバングラデシュ政府高官の間で汚職疑惑が浮上したのを理由に、世界銀行が12億ドル(約1200億円)の融資の約束を破棄、この計画は白紙に戻った。

その後、シェイク・ハシナ首相は「自前の資金でパドマ橋を建設する」と宣言し、マレーシア、中国、インドの会社などが関心を示していたが、5月19日に交通大臣が、中国大手橋エンジニアリング会社を選定したと発表した。この会社は、全長35.6キロの杭州湾海上大橋をはじめ多くの橋、鉄道、高速道路を建設した実績をもっている。

パドマ橋は、橋の長さ6.15キロ、建設費の見積は912億タカ(約11.8億ドル、1230億円)で、2017年の末か18年の初めまでに完成の予定だと報じられた。

4-2 ジョムナ橋52KB

(ジョムナ橋)

ハシナ首相の「自前建設」発言のあと、手持ちの外貨が少ないのに、海外の会社に発注して橋が建設できるのか、という疑問がだされた。そんな声に揺らぐことのない首相の姿勢に、KK-Rakanは「パドマ橋を自前の資金でつくれば、先進国の援助に頼ってきたバングラデシュの大転換になる。それにしても、この自信はどこからくるのか?」と思っていた。

5月20日、Bdnews24に載った「外貨準備高ふたたび200億ドルに」という記事を読んだとき、その自信の根拠が理解できた。

バングラデシュ中央銀行のドルの保有額が、今年4月10日に200億ドル(1兆5500億タカ、約2兆円)を超えたあと、いったん194億ドルまで戻ったが、それがふたたび200億ドルに達した、という記事だった。ドルを意外と多く保有していて、パドマ橋の本体工事の11.8億ドルは保有するドルの6%という計算になる。

インターネットで2013年度の世界各国の外貨準備高を調べると、トップは中国の3兆8803億ドル、第2位が日本で1兆2668億ドル、バングラデシュは54位に位置付けられている。

さらに銀行関係者の話では、海外在住者・労働者からの送金額が、5月初めの16日間で7億ドル(553億タカ、約700億円)に達し、5月1か月間では13億5000ドル(1046億タカ、約1400億円)になる見通しだ、という。海外からの1か月の送金額が、橋の本体建設費を上回っているのだ。「2020年代初めに中流国入り」も現実性をもってきている。

4-3 ルプシャ橋52KB

(ルプシャ橋)

パドマ橋ができれば、ダッカとクルナの距離は一気に縮まる。クルナからジョソール・ベナポールの国境をぬけて、インド西ベンガルの州都コルカタへかけぬけるアジアン・ハイウエイが、中国・ミャンマー・バングラデシュ・インドをつなぐ動脈の一本になるにちがいない。

もうひとつ見落とせないのが、10日前に、中国共産党中央軍事委員会の副議長らがダッカを訪れて、中国がバングラデシュ軍の訓練やダッカ大学の言語研究所の建設に協力することなどに合意して帰ったことだ。

中国は、バングラデシュとのつながりを緊密にすることで、隣国との衝突をくりかえす太平洋側とは別に、インド洋側に海洋への出口を開きつつある。新経済回廊BCIMは、インド洋への開路とも読める。